2022 年 57 巻 Supplement 号 p. s362_2
【背景】腎移植後BKウイルス腎症(BKVN)発症症例の予後について検討した。【対象・方法】2000年4月より2018年8月までに当院で腎移植を施行、1年以上経過観察した16歳以上のレシピエント、214症例(生体177、献腎37例)を対象とし、2022年4月30日時点で当院診療録より評価した。9例(4.2%、生体8、献腎1例)が病理学的にBKVNと診断され、発症の無かった対照群、205例と比較した。【結果】平均観察期間は10.8 ± 4.8年(中央値10.5年)。BKVN群に移植前脱感作療法施行例が多い傾向であったが、有意差は無かった(44.4 v.s. 22.0%, p = 0.116)。移植からBKVN発症までの期間は、中央値472(90 ~ 1371)日で、5例は1年以降の発症であった。BKVN診断時の移植腎機能は初回退院時に比べ有意に不良(eGFR; 46.8 ± 10.4 v.s. 26.6 ± 11.9 ml/min./1.73m2 , p < 0.001)であった。治療は免疫抑制剤の減量・変更のみで、移植腎機能の改善は得られていない。診断から1年以内の機能廃絶はなかったが、観察期間中1例が生着死亡、3例が機能廃絶となり、移植腎生着率は対照群より不良であった(66.7 v.s. 80.0%, p = 0.019)。【考察・結語】診断が遅れ、移植腎機能が悪化していた3例は機能廃絶となっており、迅速な診断、治療介入が肝要と思われた。