移植
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生体腎移植におけるドナー腎結石に対するバックテーブルでの切石時の工夫
高橋 裕之松野 直徒内田 大貴和田 直樹今井 浩二柿崎 秀宏東 信良横尾 英樹
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2022 年 57 巻 Supplement 号 p. s392_1

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抄録

【はじめに】

生体腎移植においてドナー腎に小結石が認められた場合にどのような対処を行うかについては、一定した結論はないが、移植前にドナーに過大な侵襲を与えることは慎まなければならない。今回、生体腎移植においてドナー腎結石に対し、バックテーブルで切石を施行した症例を経験したので、切石時の工夫含め文献的考察とともに報告する。

【症例】

50歳代男性、多嚢胞腎および糖尿病性腎症により慢性腎不全に至り生体腎移植予定となった。ドナー腎には10mm大の腎結石を認めており、移植時にバックテーブルで腎盂に近い尿管を切開し軟性尿管鏡により結石を除去、尿管縫合後にネオベールシート貼付+ボルヒール散布により縫合部を補強した。

【考察】

 腎移植時にバックテーブルで切石を行う際は、再灌流時の尿管縫合部からの出血対策を十分に考慮しなければならない。肝切除時の肝切離面出血対策に行われるネオベールシート貼付+ボルヒール散布は生体反応に依存せず接着面に強力な止血効果をもたらすため、バックテーブル手術時の止血方法として有用と考えられる。

【結語】

 腎移植においてドナー腎結石に対しバックテーブルで切石を要する場合、尿管縫合部の補強としてのネオベールシート貼付+ボルヒール散布処置は有用である。

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