2022 年 57 巻 Supplement 号 p. s394_3
【背景】70歳以上生体腎移植ドナーは2014年マージナルドナー基準設定以降増加傾向であり、予後についての検証が必要とされている。
【対象・方法】2009年4月から2022年4月にかけて、大久保病院で182例の生体腎移植が施行された。うち70歳以上の高齢ドナー29人における腎機能の推移や予後を後方視的に評価した。
【結果】29人中24人の追跡が可能で、追跡期間は63±31カ月、75%は男性、腎提供時の年齢は72.6±2.3歳であった。術前、術翌日、1年後、3年後、5年後のeGFRはそれぞれ 70.7±12.3 (n=24)、43.4±7.2 (n=24)、42.4±7.5 (n=23)、45.0±7.9 (n=21)、46.4±8.8 (n=14) mL/min/1.73 m2 であった。術後追跡期間中のeGFR平均変化速度は+0.72±1.32 mL/min/1.73 m2/yearであった。1例は移植後105カ月目に悪性リンパ腫で死亡した。フォローアップ期間中にCKD stage 4 (eGFR<30 mL/min/1.73 m2 ) 以降(透析導入含む)に至った症例はなかった。
【結語】追跡期間内で腎提供後の高齢ドナーにおいて腎機能の低下はみられなかったものの、引き続きの慎重なフォローアップが必要である。