移植
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臓器移植ネットワークにおける移植コーディネーター育成の現状と課題
井上 千晴大宮 かおり芦刈 淳太郎蔵満 薫北村 聖門田 守人
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2023 年 58 巻 Supplement 号 p. s109_2

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抄録

ドナー家族への説明と承諾の手続きおよび臓器配分などの臓器あっせん業を担う移植コーディネーター(以下、「Co」とする)には、日本臓器移植ネットワーク(以下、「JOT」とする)所属Coと都道府県Coがおり、全国で84名が活動している(2023年5月1日現在)。

あっせん業務は、JOTで研修および試験を受け基準を満たした者に対してのみ委嘱される業務であり、その後はラダー制度に基づき級別段階別研修(事例を用いて家族対応を学ぶグループワーク)、e-ラーニング、OJTが実施されている。また、経験の少ない都道府県Coに対しては、ロールプレイや他県で経験を積めるよう事例に応じた調整を行っている。

ラダー制度の導入により個別習熟度に応じた教育体系が展開できるようになったが、Coの基礎教育機関がないことから、あっせん業が委嘱されて以降の教育はOJTが中心となり業務習得に時間を要する。さらに臓器提供発生施設は偏在化傾向にあることから、特に都道府県Coは業務経験を積みにくい。症例の過多によらず今いるCoのモチベーションをいかに維持し一定の基準で評価するか、新人Coをいかに早期戦力化し次世代の指導者として確立するかが今後の課題である。

今年は臓器提供数が過去最多となることが見込まれている。先細りの医療業界の中で唯一と言っても過言ではない隆盛の移植医療の担い手を、一人でも多く育成していきたい。

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