2023 年 58 巻 Supplement 号 p. s133_1
レシピエント移植コーディネーター(以下、RTC)は、臓器移植プロセスの円滑なコーディネーションと移植医療チーム内のコミュニケーションを促進し、安全な移植医療の実践を支える存在であることが求められている。本邦では2000年に初の脳死肺移植が行われ、2022年末までに脳死肺移植件数は788例となった。当施設では2015年から肺移植を開始、2022年末までに脳死肺移植106例(2023年4月現在123例)となり、COVID禍以降も脳死移植件数は増加傾向にあり、同一日の複数臓器移植受け入れ件数も2022年は過去最多となった。RTCの業務は、移植に至るまでの患者や家族の支援、関連部署や他施設との連絡・調整、移植後の管理など内容は多岐にわたる。脳死移植発生時には、円滑な移植プロセスのため、移植担当医と臓器移植医療センター所属のRTCが日本臓器移植ネットワークのコーディネーターと連絡・調整を行い、移植当日以降もレシピエント経過報告やサンクスレター送付等の継続した連携を行っている。当施設のRTCは心臓2名、肝臓2名、肺2名の計6名が臓器移植医療センターに所属しており、日々の情報共有やリフレクション、業務のタスクシェアが可能な点は当施設の強みといえる。土日祝日の移植件数は増加している中、経験年数3年以上のRTCの増加により、週末オンコール2名体制での他臓器対応にも安定した運用が可能となっている。当施設での肺移植におけるRTCの役割と多職種連携について報告する。