移植
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九州・山口地区における小児心臓移植の現状と課題
平田 悠一郎小林 優豊村 大亮寺師 英子長友 雄作永田 弾賀来 典之篠原 玄安東 勇介塩瀬 明大賀 正一
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2023 年 58 巻 Supplement 号 p. s196_2

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抄録

【背景】当院は2020年5月に大阪以西で唯一の小児心臓移植実施施設に認定された。それ以前は九州・山口地区で心移植を希望する小児重症心不全患者は遠方の医療施設に頼らなければならず、治療の選択が狭められることもあった。当院の小児心臓移植を中心とした重症心不全診療の現状と課題を考察する。【現状】機械的循環補助や心移植を考慮する症例は、毎年5例程度の診療依頼がある。うち2020年以降に新たに心臓移植登録したのは拡張型心筋症4例、先天性心疾患1例で、4例が登録時11歳未満であった。人口およそ1400万人の九州・山口地区で年1-2例の小児心臓移植適応患者が発生することとなる。3例が補助人工心臓を装着して待機し、2022年9月に11歳未満の小児第1例目の心臓移植を実施した。【課題】小児ドナー不足はコロナ禍で拍車がかかり、当院の移植待機患者は最長で4年目となった。待機が長期化するほど感染や血栓など合併症のリスクは増加し、患者や家族の精神的負担も大きな問題となる。また長期入院は病棟運営にも少なからず影響する。【解決に向けて】ドナーを増やす努力が解決への鍵となるが、年々移植医療に対する医療者および市民の意識は高まってきている。また九州・山口地区は地域間の繋がりも強く、情報を共有し地区全体で重症児を支える意識を持てば、より良い小児重症心不全診療に繋がる。

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