移植
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生体腎移植後1年での体重増加率と拒絶反応との関連性についての検討
熊田 博之阿佐美 健吾眞田 覚高山 哲郎関口 悟
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2023 年 58 巻 Supplement 号 p. s256_3

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抄録

【背景】腎移植患者は移植後体重管理に苦慮することが多いが、腎移植後の体重増加と拒絶反応との関連性は定かではない。【対象と方法】2010年1月から2022年4月までに当科で生体腎移植術を施行した211例を対象とし、移植前と移植後1年での体重増加率(Δ移植前)および移植後の退院時と移植後1年での体重増加率(Δ退院時)を算出し、移植後1年以降の拒絶反応の発症に体重が与える影響を検討した。【結果】移植後1年以降にT細胞性拒絶を発症した症例は26例、抗体関連型拒絶を発症した症例は5例であった。T細胞性拒絶を発症した症例群は非発症群と比較してΔ移植前(p=0.0199)、Δ退院時(p=0.0037)共に有意に大きかった。また移植後1年でBMI>30の肥満症例も有意に多かった(p=0.0166)。ROC曲線により解析したカットオフ値はΔ移植前:5.3%、Δ退院時:14.2%であった。T細胞性拒絶発症の独立リスク因子を名義ロジスティック回帰分析を用いて多変量解析すると、Δ退院時は有意な独立リスク因子として抽出された(p=0.0233)。その他に性別、移植1年後のCr、心血管系イベントが有意な独立リスク因子として抽出された。一方で、抗体関連型拒絶発症群は非発症群と比較してBMI>30の肥満症例が有意に多かった(p=0.0056)が、Δ移植前およびΔ退院時は有意差は認められなかった。 【結論】生体腎移植後1年での体重増加および肥満がその後の拒絶発症のリスクに関連する可能性が示唆された。

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