移植
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原発性肺移植片機能不全グレード別の予測因子
豊田 行英海寳 大輔八木 悠里子鈴木 秀海吉野 一郎栗原 知多流
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2023 年 58 巻 Supplement 号 p. s296_2

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抄録

【目的】国際心肺移植学会では、原発性移植片機能不全(primary graft dysfunction: PGD)の重症度を4つのグレードに細分化している。本研究では、PGD軽症または中等症(grade 1または2)の予測因子に注目し、PGD重症群の予測因子との相違性を探索する。

【方法】2018年3月から2021年9月までの単施設の肺移植データベースの後方視的検討を行った。患者は、PGD grade 0、grade 1または2、grade 3の3群に層別化された。レシピエント、ドナー、手術の変数をロジスティック回帰分析で解析し、PGD grade1または2、およびgrad 3の予測因子を特定した。

【結果】PGD grade 1から3はコホートの45.0%(68/151人)に発生し、そのうち最重症のPGD grade 3は33.3%(23人)であった。手術時間の延長は、PGD grade 1-3の患者で多かった(p<0.001)。PGD grade 3の患者の1年生存率は、他の患者よりも低かった(grade 0-2 vs 3、93.7% vs 65.2%、p<0.001)。単変量解析により、急性呼吸窮迫症候群、手術時間、術中の体外式膜型酸素療法(extracorporeal membrane oxygenation: ECMO)の使用が、PGD grade 1または2、grade 3の予測因子であった。多変量解析では、ECMOの使用が、PGD grade 1または2の独立した予測因子であった。手術時間が8時間11分以上の患者では、PGD grade3、急性腎障害、末梢虚血の発生率が有意に高かった。

【考察】PGD grade1または2の予測因子は、PGD grade 3の予測因子と類似していた。

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