移植
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診療看護師(NP)による心臓移植harvestにおけるタスクシフト
工藤 淳片平 晋太郎大谷 将之安彦 武板垣 皓大武富 龍一細山 勝寛伊藤 校輝鈴木 佑輔高橋 悟朗熊谷 紀一郎齋木 佳克
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2023 年 58 巻 Supplement 号 p. s299_1

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抄録

【背景】脳死移植は臓器不全患者にとって恩恵がある非常に有意義な治療の一つであるが,医療者にとっては,ドナー発生から移植まで比較的迅速な対応が求められる.我々のような地方の心臓血管外科教室において定期診療に加え心臓移植1件に対応する時間及びマンパワーは大きなものとなる.【目的】臓器摘出チームへNPが加わることが,心臓移植におけるタスクシフトが可能か検討した.【方法】2019年10月から心臓摘出チームは,摘出ならびに臓器搬送する医師2名をほぼ固定とし,心筋保護液灌流と閉胸を行う医師1名とNP1名にした.当初harvestのマニュアルはなかったが,NPが帯同した数回の移植の経験からマニュアルを作成して手順の明確化を行なった.また使用する機材・物品整理を行なうことで効率化を図った.【結果・考察】当科における移植数は34例でNPが帯同したのは14例であった.NP導入前後で比較するとNP群は後者で,虚血時間(min)は284±57.4 vs 326±66.5(p<0.12),術後体外式ペーシング期間(day)は9.0±11.7 vs 3.7±7.0(p<0.57),またISHILT gradeは両群とも1A/1RとなっておりNP導入以前と変わりない成績であった.NPが固定で術前物品準備から臓器移植に帯同して心筋保護液灌流業務を行うこと,加えてマニュアルの整備を行なったことは,変わりえる医師メンバーでも臓器灌流の質を一定に保つことができたと考える.移植医療におけるNPによるタスクシフトは可能である.

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