移植
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腎移植におけるnightmare case
平光 高久姫野 智紀島本 侑樹長谷川 雄基二村 健太岡田 学一森 敏弘鳴海 俊治渡井 至彦
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2024 年 59 巻 Supplement 号 p. s184_2

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抄録

はじめに腎移植手術の術式は確立しており、ほとんどの症例で術後合併症もなく経過する。しかし、一部に難手術症例もあり、術後に予想外の合併症を経験することもある。症例50歳代男性。糖尿病性腎症で末期腎不全となり、妻からの生体腎移植術を予定した。術前より、両側の総腸骨動脈から内外腸骨動脈末梢にかけて高度な石灰化を認めていた。そのため、大動脈から両側総腸骨動脈を人工血管にて置換して、数日後に2期的に生体腎移植を予定した。腹部正中切開にて経腹的に大動脈置換術を行い、その4日後に生体腎移植術を行った。腹部正中切開を再度開創して、腹腔内から、外腸骨静脈を剥離して、移植腎静脈と端側で吻合した。人工血管に置換された外腸骨動脈と移植腎動脈を端側にて吻合した。移植腎血流再開すると腎血流良好であり、初尿を認めた。さらに、膀胱粘膜下トンネルを作成して、膀胱粘膜―尿管吻合した。手術は無事終了して移植腎機能も良好であった。しかし、術後13日目には強い下腹部痛を認めた。CTにてS状結腸穿孔が疑われたため、緊急手術にて穿孔部閉鎖、横行結腸によるcovering stomaを作成した。その後は、人工血管等への感染もなく良好な経過で初回手術から術後27目に退院となった。最終的に横行結腸によるcovering stomaを閉鎖することが可能であった。本症例について、ビデオを供覧しながら検討したい。

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