移植
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再移植例における膵臓移植の手術手技の工夫
富丸 慶人小林 省吾伊藤 壽記佐々木 一樹岩上 佳史山田 大作野田 剛広高橋 秀典土岐 祐一郎江口 英利
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2024 年 59 巻 Supplement 号 p. s216_1

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抄録

【背景】膵臓あるいは腎臓移植後の再移植として実施する膵臓移植の手術手技の工夫について報告する。【対象・方法】これまでに再移植として膵臓移植を実施した症例は10例で、その内訳は腎移植後に腎機能廃絶後の膵腎同時移植4例(A群)、膵腎同時移植後の膵機能廃絶後の膵単独移植2例(B群)、腎移植後の膵単独移植(PAK)4例(C群)であり、これらの症例における手術手技を検討した。【結果】A群の3例では右下腹部に移植されていた腎グラフトは機能廃絶しており、SPKの際には腎グラフトの授動後に膵グラフトを右下腹部に移植し、腎グラフトを左下腹部に移植した。残り1例では左下腹部に移植されている腎グラフトは、僅かに機能が残存していたために温存し、腎グラフトを右下腹部、膵グラフトを腹部正中に移植する予定とした。膵グラフトの動脈を大動脈と吻合する予定であったが、著明な石灰化のために大動脈との吻合は断念し、右内腸骨動脈と端端吻合を行った。B群では右下腹部に移植された膵グラフトは摘出後で、膵グラフトを右下腹部に移植した。うち1例では動脈吻合後に外腸骨動脈に動脈解離を認め、人工血管置換を行った。C群では腎グラフトは左下腹部に移植されており、膵グラフトを右下腹部に移植した。これらの症例の移植後膵グラフト生着率は初回移植症例と同様であった。【結語】再移植例では、グラフトの状態を含めた前回の移植手術の状況に応じた対応が重要であると考えられた。

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