2024 年 59 巻 Supplement 号 p. s241_2
当院は2014年に臓器提供関連委員会を設置し、研修会などを重ねてきたが臓器提供症例はなく、2021年11月に初回の脳死下臓器提供を行った。現在までに2症例の臓器提供を経験した。
委員会設置当初は院内コーディネーター(以後院内Co)の担当者は決まっていなかったが、2021年度より副看護部長が担当することになった。主な役割は、臓器提供事例発生時の家族支援、摘出術に向けての準備、関係各所との連絡・調整である。初回は臓器提供に向けての院内調整を行いながら家族支援に多くに時間を費やした。筆者をはじめ対応するスタッフのほとんどは実践経験がなく、長崎県移植コーディネータ―や日本臓器移植コーディネータ―に多くの支援を受け活動したが、院内Coとしての知識不足を痛感した。
2025年5月入院時重症患者対応メディエーター(以後メディエーター)が配置され、院内での体制が整備された。メディエーターはクリニカルラダーレベルIIIの看護実践能力を有しているが、メディエーターとしての経験は全くなかった。入院時重症患者対応メディエーター養成講習受講後、医療メディエーターに支援を受けながら臨床現場での対応を行い対応件数を増やしていった。2回目の臓器提供時は、今後に活かせるよう院内Coとともに活動を行った。
臓器提供の機会が少ない中、院内Coやメディエーターの役割は大きい。経験が積みにくい現場で教育体制をどのように構築していくかが今後の課題である。