移植
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低侵襲となってもグラフトの質を落とさないよう定型化した腹腔鏡下生体ドナー肝外側区域グラフト採取術
新村 兼康前田 慎太郎宮原 洋司納屋 樹井原 欣幸田村 田村阿部 雄太水田 耕一
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2024 年 59 巻 Supplement 号 p. s251_1

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抄録

【はじめに】腹腔鏡下生体ドナー肝外側区域グラフト採取術が保険収載され,各施設からレシピエントの胆道合併症が報告されている.低侵襲となってもグラフトの質は担保されねばならず,その手技を定型化して行ってきた.当施設の小児生体肝移植は埼玉県立小児医療センターと二施設合同で実施し,我々はドナー手術を担う.腹腔鏡下ドナー手術を2024年5月までに15例実施した.【対象と方法】腹腔鏡ドナー15例を,定型化前6例と定型化後9例の2群に分け,レシピエントは開腹外側区域ドナー群(O群)24例と腹腔鏡ドナー群(L群)15例で検討した.【手術手技】左肝管を最大長で取るため,鏡視下で左尾状葉グリソン枝を処理する手技を,Abeらの提唱するmodified upfront Glissonean approach and liver hanging maneuverに倣い定型化してきた.【結果】ドナー手術時間は定型化前466分/定型化後362分(以下平均値),Clavien-Dindo分類(以下C-D)IIの胃排出遅延を1例に認めた.レシピエントはC-D IIIa以上の胆道合併症がO群4 %/L群0 %,血管合併症はO群33 %/L群27 %と差を認めなかった.【考察】当施設のレシピエント胆道合併症は他施設に比して少なく,腹腔鏡でも0%であった.これは左尾状葉グリソン枝を処理して左肝管・肝門板のみを切離していることも寄与している.【結語】低侵襲手術でも手技の定型化によりドナーの安全が担保され,レシピエントの成績に影響を与えず施行可能だった.

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