移植
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2本の腎動脈が存在する生体腎移植における血行再建法が移植腎予後に与える影響
増井 亮太上村 将夫山永 成美日高 悠嗣横溝 博
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2024 年 59 巻 Supplement 号 p. s284_2

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抄録

【背景】移植腎が2本の腎動脈を有する生体腎移植において,血行再建法の違いが移植腎予後に与える影響に関して論じた報告は少ない. 【対象と方法】当施設で2011年4月から2024年4月までの期間に施行した生体腎移植254例において, 2本の腎動脈を有した60例を吻合方法別にEnd-to-side (ES,n=5), Inferior epigastric artery (IEA,n=15), Direct anastomosis (DA,n=2), Side-to-side (SS,n=29) , Ligated (L, n=9)に分け, 1本の腎動脈症例 (n=194)をControlとして後方視的に比較検討した.【結果】Slow/Delayed Graft Functionの発生率がES群で有意に高かった(Control:2.1% vs ES:40.0%, p<0.05, Z-test). 急性拒絶反応,尿管合併症の発生率は各群間に有意差を認めなかった.移植腎の10年生着率は各群間で有意差を認めなかったが, ES群で最も低かった(Control:91.4% vs ES:60.0% vs IEA:93.8% vs SS:95.7% vs L:83.3%, p=0.100[p-value for Control vs ES]). Donor及びRecipientの年齢と性別,移植腎の左右,移植された時期, Recipient術者で補正した生着率は各群間で有意差を認めなかったが,ES群のHazard ratioが3.63(95%CI: 0.75-17.52, p=0.109)と最も高かった.【結語】今回の検討では長期成績に有意差を認めなかったが, ES群で生着率が最も低く, 我々が以前行なった米国での先行研究 (Yamanaga S. PlosOne 2018)に矛盾しない結果であった. 今後は多施設共同での予後調査の実施につき検討したい.

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