移植
Online ISSN : 2188-0034
Print ISSN : 0578-7947
ISSN-L : 0578-7947
腎移植時の内腸骨静脈切離について多施設共同研究
山田 大介中村 有紀石井 保夫寺西 淳一濱崎 敬文木下 善隆山田 雄太亀井 潤田口 慧南学 正臣久米 春喜
著者情報
ジャーナル フリー

2024 年 59 巻 Supplement 号 p. s284_3

詳細
抄録

 腎移植にあたって、ドナーの腎摘出は腎静脈の長さから左が好まれる。献腎では右腎静脈が短いことに配慮して中心静脈を右腎に付けて左右の腎を切り分けている。それほど、腎静脈が短いと縫合しにくく、腸骨窩に腎が収まり難い。レシピエントの移植部位は右腸骨窩が好まれる。右外腸骨動脈の外側から右外腸骨静脈にアプローチすると下大静脈まで動脈に遮られることなく走行するが、左総腸骨静脈は動脈の背側を通過し、吻合時に腹側に持ち上がりにくい。腎静脈の吻合は外腸骨静脈か総腸骨静脈になる。内腸骨静脈は背側に位置し、分岐も多く短いことから腎静脈に吻合されることは希であるが、内腸骨静脈を結紮切離すると外腸骨静脈が腹側に持ち上がり、腎静脈と外腸骨静脈の端側吻合が行い易くなる。しかし、内腸骨静脈は術者から見ると総腸骨静脈に隠れ見えにくく、複数ある事や分岐後直ぐに分岐することも多い。血流量も多く、不用意な操作は多量出血に繋がるため、丁寧な剥離と確実な結紮切離が要求され処理に時間がかかる。ドナー手術との時間調整もあるため、術前に結紮切離が必要な症例かどうか分かる指標がないか探索した。

著者関連情報

この記事はクリエイティブ・コモンズ [表示 - 非営利 - 改変禁止 4.0 国際]ライセンスの下に提供されています。
https://creativecommons.org/licenses/by-nc-nd/4.0/deed.ja
前の記事 次の記事
feedback
Top