2024 年 59 巻 Supplement 号 p. s285_3
【背景】腎移植手術において尿管膀胱吻合に対する縫合不全対策としてはDJステント等を用いた内瘻化チューブを用いることなどが挙げられる。しかし当院は消化器一般外科で腎移植診療を行っており、膀胱鏡を含め内瘻化チューブの抜去を行うすべを持っていないことから、代わりにユリテジンカテーテルを用いて外瘻化を行っている。【方法】2003年1月から2024年3月までの期間において当科で施行された生体腎移植392件のうち、外瘻化を行った症例は26例あった。献腎移植は26例全例で外瘻化を行っていた。外瘻化戦略の周術期管理について、その手技やメリット等について論じたい。【結果】生体腎移植の場合はよほどの萎縮膀胱症例でなければ通常通りの吻合を行ったうえで外瘻化チューブを直視下に留置し、吻合部からやや離して膀胱壁を貫かせて体外へチューブを引き出している。献腎移植の場合は全例予定留置としており、更に著明な萎縮膀胱に対しては尿管との吻合は陥入法と呼ばれる吻合方法を用いている。全例で原則術後3週間で瘻孔形成が完成した時期に透視造影下に抜去しているが、この間にカテーテルの高さを調整することでチューブを通じて出る尿量をコントロールでき、萎縮膀胱症例を中心に自排尿の訓練に有利に働く。また、安定化すればチューブをクランプして早期退院も可能である。【結語】腎移植における尿管膀胱吻合外瘻化の取り組みは様々な面でメリットが大きい。