移植
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インドシアニングリーン(ICG)で血流評価後、追加切除を行った尿管の病理像
白石 裕介小川 莉奈田中 恵梨子伊藤 誠哲横井 那哉飯島 平祐高橋 雄大上田 政克吉村 耕治鈴木 誠
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2024 年 59 巻 Supplement 号 p. s286_1

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抄録

【背景】腎移植において移植尿管の血流は重要であるが、通常光では客観的な評価が難しい。そこで当院ではICGを用いて術中移植尿管の血流評価を行っている。今回われわれはICGで血流評価後、追加切除を行った尿管の病理像を調べたので報告する。【対象と方法】対象は2021年4月から2024年1月までに腎移植術中ICGで尿管血流を評価し、尿管を追加切除した症例。血流不良と判断した場合、血流不良部の切除を行ったほか、血流良好でも尿管が長すぎる場合、長さ調整のため切除を行った。切除した尿管の病理像をHE染色およびEVG染色で検討した。【結果】ICGで血流評価を行った31例中、尿管の追加切除を行ったのは14例(血流不良9例、長さ調整5例)であった。尿管周囲の動脈本数は血流不良群で8本(7-14)、長さ調整群で12本(8-14)であったが有意差は認めなかった。動脈径(平均)は74μm、83μm、尿管径(平均)は1839μm、1826μmで有意差は認めなかった。【結語】術中ICGで血流不良を認め切除した尿管と長さ調整で切除したで尿管に病理学的に有意な差はなかった。血流不良で切除した尿管にも動脈は存在しており、腎動脈以外からの流入もしくは術中操作による血流障害の可能性が考えられた。

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