移植
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新規シリコン成分剤がラット同種異系腎移植における抗体関連型拒絶反応を抑制する
川村 正隆阿部 豊文小林 悠輝松村 聡一深江 彰太田中 亮谷口 歩中澤 成晃山中 和明加藤 大悟難波 倫子小林 光野々村 祝夫角田 洋一今村 亮一
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2024 年 59 巻 Supplement 号 p. s286_2

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抄録

抗体関連型拒絶反応(ABMR)は腎移植における移植片喪失の主要な原因である。虚血再灌流障害(IRI)は、T細胞の増殖に続いてB細胞の活性化を促進し、血管内皮におけるドナー特異的抗体(DSA)の産生を促進することが報告されている。活性酸素種の抑制に基づく新規治療戦略により、IRIに関連する酸化ストレスと免疫反応を予防できる可能性があると仮定した。我々のこれまでの研究では、シリコン成分剤の経口投与により、大量の水素が持続的に発生し、ラットの腎クランプモデルにおいてIRI誘発酸化ストレスと急性腎障害を抑制できることを示してきた。今回、我々は同種異系腎移植における免疫応答に及ぼすシリコン成分剤の影響を検討した。シリコン成分剤は酸化ストレスを抑制し、獲得免疫の活性化を抑制した。また、DSA産生の早期抑制と慢性ABMRの改善が観察された。これらの結果は、シリコン成分剤が移植片機能に保護効果を有することを示しており、腎移植を受けたレシピエントの予後を改善するための臨床応用の可能性を示唆している。

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