移植
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当院におけるCMV抗体陰性レシピエントへの腎移植症例の検討
大田 守仁西平 守邦平良 翔吾関 浩道安達 崇之大湾 香理島添 亜依子仲本 エリ子
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2024 年 59 巻 Supplement 号 p. s301_1

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抄録

(はじめに)サイトメガロウイルス(CMV)は多くの場合既感染であるが、時に若年者などでは未感染の場合もある。CMV抗体陰性の場合、移植後に初感染を起こすと免疫抑制剤を内服していることもありウイルスが爆発的に増殖しCMV感染症を呈することもある。当院においてCMV抗体が陰性であったレシピエントについての検討を行った。(対象)2004年以降に当院で腎移植を施行した263例中、術前CMV-IgGが陰性と診断された17例で頻度は6.5%。(結果)男:女は12:5で移植時の年齢は平均33歳。最高齢は58歳。献腎移植は3例でこれらはドナーのCMV抗体は不明であった。また生体移植14例中ドナーのCMV抗体陰性例が1例あった。VGCVによる予防治療を行ったのが9例で、残り8例は先制治療であった。移植後1年以上経過した15例において、術後CMV血症に至った症例は12例でアンチゲネミア法による陽性細胞数は最高1049/50000個であった。胃炎。腸炎などのCMV感染症は3例に認めたがいずれも先制治療の症例であった。入院でGCV点滴が必要となった症例は4例であった。予防治療を行った7例中4例でCMV抗原を認めずに経過しており全例で術後3ヶ月目にEVRを導入していた。全体では11例(73%)にEVRを使用し、12例(80%)でCMV-IgG抗体の陽転化を認めている。(まとめ)術前CMV抗体陰性症例においては術後予防投与が必要であり、EVR導入がウイルス抑制に有効であると思われた。

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