移植
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バーチャルクロスマッチ導入に向けたシステム構築について
金本 人美橋口 裕樹佐藤 優本山 健太郎
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2024 年 59 巻 Supplement 号 p. s311_2

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抄録

臓器移植における組織適合性検査では, HLAタイピング, 抗HLA抗体, クロスマッチの3項目を実施し, その結果より総合的にドナー特異抗体(DSA)の有無を判断する. その中でクロスマッチは, 従来から実施されているフィジカルクロスマッチ(PXM)であるCDCとFCXMがある. 昨今, 海外での臓器移植においては抗体関連型拒絶のリスクの低い患者においてはPXMを省略し, HLAタイピングと抗HLA抗体の検査結果よりDSAの有無を判断するバーチャルクロスマッチ(VXM)が一部において採用されている. 今回, 当移植センターにおいてバーチャルクロスマッチ導入に向けたシステムの共同開発を行い, 運用を開始したので報告する. システムは, 株式会社KHJサービスが提供する移植検査システムComComAに新たに機能を追加した. LABScan3Dシステム, BD FACS LyricTM等の測定機器とLANでの共有設定を行い, CSVデータの取り込みを行った. 解析画面ではドナー, レシピエントのHLAミスマッチ部分が自動表示され, そこに特異性同定検査の結果であるnMFIが各HLA型, アレル別に表示され, VXMの判定を承認すれば解析が完了する. DSAが認められた症例については報告書のコメント欄に自動でテンプレートコメントが入ることで, 臨床側への報告漏れを防止する. VXM導入に向けてシステム運用することにより, 膨大なデータチェック作業は解消され, 効率化及び検査報告の質の担保につながった.

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