2024 年 59 巻 Supplement 号 p. s329_2
【目的】ABO血液型不適合生体腎移植(ABOi-KT)では、リツキシマブ(RIT)登場後の近代的免疫抑制療法下でも抗体関連型拒絶反応(ABMR)を発症する症例が散見される。本研究では、抗血液型抗体価(治療前、移植直前、抗体価リバウンド)、B細胞活性化因子(BAFF)値、骨盤リンパ節中のB細胞関連マーカーの発現とABMRの関連について検討した。【方法】2005年から2022年までに当院でABOi-KTを施行した81例を対象とした。血中BAFF濃度はRIT投与前、移植前日、移植翌日、移植7日目、移植28日目に測定した。移植時に採取した2次リンパ節組織は、CD20、CD79a、CD138の免疫組織化学染色で発現を評価した。ABMR群(10例:12.3%)と非ABMR群(71例:87.7%)の2群に分けて比較検討を行った。【結果】抗体価リバウンドを20例(24.7%)に認めた。ABMR群と非ABMR群で、治療前、移植直前の抗体価に有意差は認めなかった。しかし、ABMR群では、抗体価リバウンドが有意に高率であった(p = 0.002)。また、ABMR群では、移植前日のBAFF値が非ABMR群と比較して有意に高値であった(p = 0.002)。骨盤リンパ節の免疫組織化学染色では、ABMR群でCD138陽性細胞(形質細胞)の割合が有意に高かった(p = 0.038)。【結語】ABOi-KTのABMR発症には、リンパ節中の形質細胞密度の高さとそれに伴う抗体産生が抗体価リバウンドさらにはABMRに寄与している可能性がある。