2024 年 59 巻 Supplement 号 p. s333_3
【はじめに】新型コロナウイルス(COVID-19)感染が第5類に引き下げられた後も、散発的に感染例は出ている。変異を重ねる中で弱毒化し、ワクチン接種も行き渡った事もあり、重症例を診る事は少なくなった。当院では入院を必要としたCOVID-19に感染した移植患者は120例を超えたが、その殆どが軽症~中等症であった。その中で重症化した症例の特徴を解析した。【対象・方法】2020年1月~2024年1月まででCOVD-19に感染して入院した当院の腎移植患者のうち、重症化した5症例の臨床的特徴と治療経過を解析した。【結果】5例の年齢は57歳~69歳、男性3例、原疾患は高血圧性腎硬化症が2例、膜性腎症が一例、3例は原疾患不明。感染時期は移植後1年5か月~10年10か月とばらつきがあった。全例、高血圧など、一つ以上の重症化因子を持っていた。全例、免疫抑制剤の減量とデキサメサゾンの投与を行い、3例はレムデシベルを、2例はトシリズマブを使用し、3例は人工呼吸器管理が必要になった。5例中3例は回復したが、1例はECMOも使用したが、発症25日目に、もう一例は30日目に死亡した。【結語】重症化する症例は少なくなったが、重症例を改めて見直す事で、移植患者の重症ウイルス感染の管理を考える上で、今後の教訓になった。