移植
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サイトメガロウイルスハイリスク腎移植症例に対するバルガンシクロビル予防投与の検討
瀬戸口 誠徳本 直彦齋藤 一隆
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2024 年 59 巻 Supplement 号 p. s334_2

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抄録

【緒言】サイトメガロウイルス(CMV)IgG抗体陽性ドナー(D+)から陰性レシピエント(R-)への腎移植はCMV感染症のハイリスクであり、抗ウイルス薬の予防投与が推奨されている。当院でのCMVハイリスク症例について検討した。【対象】2017年12月から2023年12月に当科で腎移植を行った125例のうち、18例(14%)がD+/R-のハイリスク症例であった。このうちバルガンシクロビル(VGCV)予防投与した症例は11例であり、VGCV450mgの隔日内服を200日間予定とした。維持免疫抑制療法はタクロリムス、ミコフェノール酸モフェチル、メチルプレドニゾロンの3剤併用療法としている。【結果】移植時年齢中央値は50歳、6例にリツキシマブが投与され、血液型不適合腎移植の2例では術前血漿交換を施行した。全例で内服完遂したが、5例で予防投与中にCMV viremiaを認めた。そのうち1例のみガンシクロビル静注を必要とするCMV症候群を来した。2例でVGCV予防投与終了後の晩期感染を来したが、自然軽快した。CMV感染を認めなかった症例は1例であり、CMV-IgG抗体陽性化した症例は7例で、3例はVGCV予防投与中である。好中球減少症は4例に認めたが、CMVの薬剤耐性化も認めなかった。【結論】本検討の投与量では腎移植後CMV感染を予防するには不十分である可能性が考えられた。しかし、VGCV900mgの投与量では好中球減少症も必発であるため、VGCV適正量確立のため症例の蓄積が必要である。

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