2024 年 59 巻 Supplement 号 p. s336_2
【背景】生体肝移植ドナーの術後胆道合併症は長期的QOLにも影響する。当科ではドナー肝切除において肝外Glisson一括確保の後に肝門部の脈管剥離を行っており、その有用性を検証した。【対象と方法】2016年以降の当科で施行した生体肝移植ドナー手術9例を対象として、周術期因子を後方視的に検討した。右葉グラフトでは右一次Glisson+G1r、左葉グラフトでは左1次Glissonを一括確保。【結果】年齢は中央値38.5歳で性別は男性8例、女性1例であった。手術術式の内訳は、左葉切除3例、右葉切除6例であった。手術時間の中央値は341分で、出血量は中央値で235mlであった。術後在院期間は中央値13.5日で、Clavien分類Grade3以上の術後合併症は胆道系合併症を含めて1例も認めなかった。【結語】症例数は少ないが、生体肝移植ドナー手術における肝外Glisson一括確保後の脈管剥離は、胆道合併症をはじめとした術後合併症の軽減につながる可能性が示唆された。今後も症例の蓄積が必要である。