移植
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TEG6sを用いた, 周術期腎移植患者における血漿交換が血小板機能の及ぼす影響の解析・検討
新垣 滉大久保 進祐野口 浩司椛 朱梨加来 啓三岡部 安博中村 雅史
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2024 年 59 巻 Supplement 号 p. s343_1

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抄録

【背景】腎不全患者の血漿交換は血小板機能障害を惹起する可能性が報告されているが, 詳細は明らかではない. 今回TEG6sを用いて腎移植術前の血漿交換が血小板機能に及ぼす影響を評価した. 【方法】2022年12月から2023年7月の期間において, 当科で生体腎移植術を施行した患者の手術当日朝の血液検体を使用した. TEG6sのプレートレットマッピングを用いて血小板機能評価(MA:最大血餅強度, MA-AA:アラキドン酸カスケードによる血小板起因の血餅強度, MA-ADP:ADPによる血小板起因の血餅強度)を行い, また, 上記データを周術期の輸血量・出血量や患者背景, 血液検査項目などと併せて解析した. 【結果】患者数は19例[平均年齢48.6歳(±15.3), 男性11例, 女性8例 ]であった. 血漿交換施行群(9例)と未試行群(10例)に分け2群間の差を比較したところ, MA(p=0.016)・MA-AA(p=0.042)・MA-ADP(p=0.008)において有意差を認めた. また,多変量解析を行ったところ血漿交換の有無はMA(p=0.002, β=0.51)・MA-AA(p=0.010, β:0.44)・MA-ADP(p=0.003, β:0.57)に有意に影響している可能性が示唆された. また, 血小板数もMA(p=0.001, β=0.65)・MA-AA(p=0.001, β:0.65)・MA-ADP(p=0.007, β:0.49)に有意に影響している可能性が示唆された.【結語】腎移植患者の術前血漿交換はADP及びアラキドン酸カスケード由来の血小板機能障害を呈する可能性が示唆された.

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