2024 年 59 巻 Supplement 号 p. s349_1
【目的】肺移植後患者の中には、医療者から定期的なホームスパイロメトリーの測定というセルフモニタリングの指導を受けても、実施できていない場合がある。患者が生活の中でセルフモニタリングができていない理由は不明瞭であり、医療者が行う指導内容も確立されていない。患者への効果的な指導の糸口を探るために、患者の生活に密着し、日常の中にあるホームスパイロメトリー測定に対する思いを明らかにした。【方法】成人肺移植後患者2名を対象に「測定する理由」「測定しない理由」について半構造化面接を行った。患者が語った内容を戈木(2000)が述べたグラウンデッド・セオリー・アプローチで分析した。【結果】患者はホームスパイロメトリーの測定において体調の判断、体調悪化への恐怖、他者に理解してもらいたい、機器のメンテナンスに対する不安、ドナー/ドナー家族への感謝、生きがいを守ること、日常生活との折り合い等の思いを抱えていた。患者はセルフモニタリングの結果に影響を受けながらも、自身の経験を活かし、大切にしていることを守るために向き合っていた。【考察】患者と医療者が協力しながら、セルフモニタリングを確認することや患者の日常生活にセルフモニタリングを組み込む工夫を考えることは必要な援助である。しかし、より効果的にするためには、患者の複雑な思い、経験、大切にしていること等を医療者が聴き、それらを踏まえた指導であることが求められる。