移植
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preformed DSA陽性腎移植レシピエントに対するエベロリムスの効果
清藤 豊士佐々木 元田邉 起島田 有理勝山 皓平石川 優衣川代 啓太原田 茂三浪 圭太田中 博原田 浩
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2024 年 59 巻 Supplement 号 p. s357_3

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抄録

【目的】腎移植におけるpreformed DSA (pDSA)は、移植腎生着率低下に関与している。エベロリムス(EVR)による導入がpDSAや患者生存率・腎生着率に及ぼす長期的影響については、まだ明らかになっていない。【方法】対象は2005年から2020年までに当院で腎移植を受けたFCXM陰性、抗HLA抗体同定検査でpDSA陽性であった42例。導入期の内服免疫抑制としてタクロリムス、ミコフェノール酸モフェチル、EVRを使用した22例(EVR群)と、EVR に替わりメチルプレドニゾロン(MP)を使用した20例(MP群)の2群に分けて、患者生存率、腎生着率、抗体関連型拒絶反応(AMR)の発生率、pDSAの陰転化率、およびde novo DSA (dnDSA)の発生を後方視的に検討した。【結果】両群間で患者背景に統計学的優位差はなかったが、観察期間はMP群の方が有意に長かった(7.9年 vs 13.6年、p<0.05)。10年患者生存率は、EVR群とMP群で同等であった(100%対95%、p=0.29)。一方、10年腎生着率は、EVR群の方が高い傾向にあった(92%対80%、p=0.12)。pDSA陰転化までの期間の中央値は、EVR群で3.7年、MP群で5.8年であり、EVR群の方がMP群よりも早くpDSAが抑制された可能性が示唆された。一方、AMRの発生率およびdnDSAの出現率も各群で同程度であった。【考察】エベロリムスでの導入は、pDSA陽性の腎移植レシピエントにおいて、移植腎生着期間を延長し、同時にpDSAを早期に抑制することができる可能性がある。

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