2024 年 59 巻 Supplement 号 p. s367_1
【目的】腎移植後患者のフォローアップ(以下f/u)における体制構築、認定レシピエント移植コーディネーター(以下RTC)の役割検討のためにクリニック(以下CL)開設後の現状を明らかにすることを目的とした。【方法】CL転院患者を対象に、転院時年齢、移植後年数、通院距離等をカルテより抽出した。またCL開設前後の当院外来診療状況を比較した。【結果】外来f/u患者の30.8%がCLへ転院、転院時年齢は50.4±13.3歳、移植後年数は8.8±7.3年であった。通院距離は短縮・不変が34%、延長が66%であった。患者は受診日の幅が広がったこと、待ち時間短縮等に転院のメリットを感じていた。医師・RTCは、CLからの診療依頼に際して定期受診の必要性を感じる一方で、外来患者数の減少により日々の診療負担が軽減し、術前患者等への時間確保が可能となった。【考察】遠方にも関わらず患者が転院を選択したのは、外来待ち時間の短縮のみでなく、自身の主治医であった医師への信頼感・安心感があったためと考える。移植後患者へのケアの質を保障していくためには、CLへの患者移行を含めたf/u体制の構築が重要であり、CLとの連携強化、連携体制の可視化が望ましいと推察される。今後、医師がCL移行への医学的条件の設定を行い、RTCはCL転院のメリットを転院対象患者に紹介する必要がある。CL対応困難な患者の受け入れをスムーズにするためには、自立支援医療施設認定による問題があり、今後の課題である。