2024 年 59 巻 Supplement 号 p. s367_2
【はじめに】当院の献腎移植待機者は100名前後である。抗HLA抗体検査の算定要件が見直され、日本臓器移植ネットワークに移植希望登録中で輸血歴や妊娠歴などの既往者に対しての抗HLA抗体検査が保険収載され、2024年6月から運用開始となった。これまで生体腎移植症例に対しては術前検査可能であったが、献腎移植ではダイレクトクロスマッチ(XM)検査結果で候補者がリストアップされていた。【取り組み】年1回通院中である献腎移植待機者の外来受診時採血に、予め感作既往歴を確認して抗HLA抗体検査用採血を追加しておいた。診察時に抗HLA抗体検査実施の説明をした。抗体スクリーニング検査陽性例に対しては、同じ検体で抗体特異性同定検査まで行い、次回外来受診時に説明することとした。【考察】これまで当院では、頻回輸血・血小板輸血・移植など既往のある患者に対して、抗HLA抗体検査を自費で行ってきた。実際に献腎候補にリストアップされた際にはXM結果を待つことなく、意思確認や移植準備ができていた利点があった。今回、献腎移植待機者の術前抗HLA抗体検査が保険収載され、患者に負担をかけることなく、また抗ドナー抗体弱陽性の移植症例を避けることができると思われた。さらにその詳細をE-VAS入力できるようになれば、バーチャルクロスマッチによる迅速な献腎候補リストアップも可能になると思われた。現時点での問題点につき考察する。