2024 年 59 巻 Supplement 号 p. s379_3
【背景】乳幼児期発症のミトコンドリア病は補助循環の適応となるような重症心不全例が多い。しかし初期に他臓器症状が乏しくミトコンドリア病の診断が困難なことが多い。また経過中に他臓器障害が明らかになり心臓移植適応の判断に迷う症例が多い。
【対象および方法】対象は当院で体外式補助人工心臓 (EXCOR)を装着したミトコンドリア病患者4名。患者背景、EXCOR装着前後の経過、他臓器障害の出現などについて後方的に検討した。
【結果】患者は5ヶ月から1歳1ヶ月の男児3例、女児1例の計4例であった。EXCOR装着前に明らかな他臓器障害を有した例はなかった。2例がEXCOR装着前にミトコンドリア病と診断、2例はEXCOR装着後にミトコンドリア病と診断された。ミトコンドリア病の診断のきっかけは全例が病理所見であった。4例中3例で他臓器障害が進行し移植待機中に死亡、1例は現時点で他臓器障害なく生存しているがEXCOR装着から1ヶ月と短期間であり今後の経過に注意が必要である。
【考察】乳幼児期発症の重症心不全では、常にミトコンドリア病の可能性を考えておくことが大切であり、その後の経過で他臓器障害の程度によっては心臓移植適応から外れうる可能性があることについて十分に説明を行った上で治療戦略を考えることが大切である。