移植
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腎移植後真菌感染症の自験4例
山田 保俊見附 明彦有馬 純矢坂口 大南 真人鑪野 秀一榎田 英樹
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2024 年 59 巻 Supplement 号 p. s386_1

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抄録

移植後感染症のうち真菌感染症は以前に比べると発症例が著しく減少し、ウイルス感染に比べると注目されなくなった。当院では以前、術後定期的にβDグルカン検査を実施していたが、現在は施行せず管理している。発症率が低下したとはいえ、罹患すると重症化する可能性があることは言うまでもない。我々の施設では2024年以降の260例の腎移植症例のうち、4例(1.4%)に真菌合併症を経験し、いずれも外来通院中発症で、入院加療を要した。起因菌はニューモシスチス2例、アスペルギルス1例、クリプトコッカス1例であった。以下アスペルギルス感染とクリプトコッカス感染の2例について症例提示する。【症例1】 生体腎移植後4年目に細菌性副鼻腔炎に対する治療を継続していたが、発熱と意識障害が出現し緊急入院。CTで副鼻腔炎による篩骨洞部の骨破壊像を認め、外転神経・動眼神経麻痺が出現し、緊急内視鏡下手術を施行した。病理検査でアスペルギルスによる副鼻腔炎と判明。術後肺炎が増悪し、死亡退院した。【症例2】58歳 男性。腎移植後1年目に、頭痛、発熱、全身倦怠感が出現した。髄液検査で無菌性髄膜炎が疑われ、髄液のクリプトコッカス・ネオフォルマンス陽性であったことから、クリプトコッカス髄膜炎と診断し抗真菌薬による加療を行い、5か月後自宅退院した。

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