2024 年 59 巻 Supplement 号 p. s388_2
【目的】腎移植時に腎性貧血を伴う患者は多く、治療にはESAが主に使用されるが、一部ESA抵抗性症例が存在する。ESA抵抗性はESA抵抗性指数(ERI)で評価され、腎移植前ERI高値の存在は移植後貧血(PTA)の発症に関連するとされる。今回、移植前ESA抵抗性と腎移植後アウトカムの関連を検討した。【方法】当施設で腎移植を施行した337例のうち、腎移植前に維持血液透析を行っていた194例を対象とした。ERIはダルベポエチンアルファ用量を基準として計算し、ERIを含めた移植前後の因子が移植後のアウトカムに与える影響を検討した。【結果】対象集団の移植時年齢は52(41-59)歳であり、平均観察期間は116ヶ月で、移植腎機能廃絶例は27例(14%)であった。腎移植前にESAを投与していた症例は157例(81%)、腎移植前ERI中央値は0.037(0.022-0.060)であった。移植前貧血をHb<10g/dLと定義したところ、56例(29%)が該当していた。ROC曲線を用いて当施設でのERIカットオフ値を算出した結果0.054となり、これを基準として移植後アウトカムを比較したところ、ERI≧0.054群では長期生着率の低下を認め、PTA発症率が高かった。またERI≧0.054群の症例では、移植前CRP高値が移植腎生着期間や移植後生存期間の短縮に影響していた。【結論】当施設のデータからは、移植前ERI高値や移植前CRP高値が長期的な移植後アウトカムに影響を与えることが示唆された。