移植
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BKウイルス感染症と急性拒絶反応の鑑別診断、治療に苦慮した生体腎移植の1例
若宮 崇人川端 大輝山下 真平柑本 康夫原 勲
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2024 年 59 巻 Supplement 号 p. s388_1

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抄録

レシピエントは52歳、男性。原因不明の慢性腎不全に対して、MMF、Tac、MPで免疫抑制剤を導入し妻をドナーとする血液型不適合先行的腎移植術を施行した。3ヶ月目のプロトコール生検でウイルス感染またはT細胞性拒絶反応を指摘され、両者の鑑別が困難であった。血清Cr値は微増傾向でありステロイドパルスを施行したが、腎機能はあまり改善なかった。尿細胞診でdecoy cellを確認、同時に提出したBKV-DNA定量では尿中1×108 copies/ml、血中2000 copies/mlと高値であるも生検ではSV40は陰性であり、BKV血症と診断した。その後MMFを中止、Tacを減量の上、EVRを導入したが腎機能がさらに悪化したため、移植後6ヶ月目の時点で再生検を行ったところ拒絶反応は認めず、SV40陽性でありBKV腎症と診断した。この時点でBKV-DNA定量では血中4000 copies/mlとさらに増加していたので、EVRを中止し、Tacをさらに減量してMPとの2剤で管理した。1ヶ月後のBKV-DNA定量では血中2000 copies/mlと改善傾向にあり、腎機能の悪化はなく血清Cr値:2.2-2.4mg/dLと横ばいで推移している。BKウイルス感染症の診断、治療に苦慮した1例であり、発表までに臨床経過をさらに追加し、文献的考察をふまえて報告する。

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