移植
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生体腎移植後、SGLT2阻害薬で糖尿病性ケトアシドーシスをきたした1例
蜂須賀 健中島 龍一朗近藤 晃川瀬 友則三宮 彰仁小山 一郎中島 一朗
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2024 年 59 巻 Supplement 号 p. s390_1

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抄録

【緒言】糖尿病性腎症は我が国の透析導入の原疾患第1位であり、腎移植レシピエントの原疾患としても増加している。糖尿病の管理は移植腎予後の点からも益々重要となっている。糖尿病治療薬であるSGLT2阻害薬は近位尿細管からの糖の再吸収を阻害し血糖を低下させるが、糖尿病の有無にかかわらず腎保護効果を示すことが明らかとなり、慢性腎臓病患者への有用性が示されている。腎移植領域でも今後、使用頻度が増えてくることが予想される。【症例】51歳男性。糖尿病性腎症を原疾患とする慢性腎不全で維持透析中。妻をドナーとする生体腎移植を希望し当科に受診した。透析導入以前は、DPP4阻害薬と速効型インスリン分泌促進薬で糖尿病治療をされていた。腎移植術後、血糖高値に対してインスリンスケールを使用し、術後4病日よりSGLT2阻害薬の内服を開始した。術後経過は安定しており、SGLT2阻害薬とインスリンの併用として退院とした。1ヶ月後に血圧低下と倦怠感、嘔気嘔吐を主訴に来院し、アニオンギャップ増大の代謝性アシドーシスとケトン体の上昇を認め、糖尿病性ケトアシドーシスと診断した。SGLT2阻害薬の中止と補液を行ない改善した。現在はインスリン単独で血糖コントロールを行なっている。【結語】今回、SGLT2阻害薬による糖尿病性ケトアシドーシスをきたした症例を経験した。文献的考察を加えて報告する。

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