熱帯農業
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タイワンヤマチャの形態に関する研究
第1報台湾中部における野生種の形態学的差異
橋本 実
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1967 年 11 巻 3 号 p. 90-94

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抄録

1 1966年1月, 台湾中部地方に分布するタイワンヤマチャについて調査したところ, 丘陵地帯 (魚池) に生育するチャと山岳地帯 (眉原山) に生育するチャの2つの型が認められ, この2種について形態学的に比較し, その差異を明らかにした.
2 木の性状は, 眉原山に生育するチャは喬木性を呈し, 魚池のチャは潅木性を呈している.
3 葉の特徴は葉長, 葉巾ともに眉原山のチャが大きく, 葉脈数も多い.葉の形 (葉長/葉巾) は, 眉原山のチャは長楕円形の細型で, 葉の先端は尖形をなしている.魚池のチャは葉に丸味を帯びて, 先端は凸形をなしている.また葉肉は眉原山のチャは, 魚池のチャより薄く柔軟である.
4 毛の有無について, 頂芽の毛は両種とも毛を有し区別は困難であるが, 幼葉では眉原山のチャは毛がなく, 魚池のチャは毛のないものと有しているものとがあり, 多種多様である.
5 木の性状および葉の特徴からみて, 眉原山のチャはアッサム種に類似しており, アジアにおけるチャの分布からみて非常に興味がある.今後はインド・アッサム地方から台湾にいたるチャの形態学的変異性を明らかにする必要がある.

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