熱帯農業
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さとうきび育種における選抜方法に関する研究
第2報 実生第1年次と栄養繁殖世代との年次相関について*
永冨 成紀児玉 三郎
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1971 年 15 巻 1 号 p. 1-5

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抄録
さとうきび育種で, 効率を向上させるには, 個体数の多い第1年次実生を合理的に能率良く淘汰できる選抜基準を設定することである.選抜形質には, 地域の気象生態条件から見て表現型で次代と相関・遺伝力の高い実用形質を選定することである.本報では種子島で実施した選抜試験成績から各形質の年次間の動向をまとめたものである.
1) 実生第1年次と2年次で高い相関々係にある形質は, 茎長・茎径・髄孔率でいずれも0.5~0.7で, 第1年次個体選抜段階の選抜形質として信頼性がもてる.
2) 原料茎数・原料茎重は, 個体間競合を排除すれば, 0.6前後の高い相関をもち, 第1年次から収量性に関する選抜が可能なことを示すが, 個体間競合の生ずる栽植様式では, 0.3程度に低下し信頼性は薄くなろう.
3) ブリックスは, 土壌や気象条件による変動が大きいが, 有意の正相関が見られるので, 特に高糖・低糖性個体を大まかにふるいわける程度ならば, 選抜効果が期待できよう.
4) 今後の課題として, 選抜時期や早期選抜の可能性を検討することが挙げられる.
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