熱帯農業
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熱帯産香料兼薬用植物パチョリーに関する二三の実験
山本 良三石川 雅士南波 英代
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1976 年 19 巻 2 号 p. 92-95

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抄録

熱帯値物パチョリーについてわが国の導入の可能性について, 温度に関連して検討した.使用した材料は形態的特性からPogostemon heyneanus Benthamと推察された.
日本の西南部は夏季は気温も高く, 冬季は5℃以下になることが少ないので植物そのものの栽培は不可能ではない.しかし気温の高低と油の量ならびに性質とは大きく関係するようで, わが国では南方におけると同様に経済的に栽培価値を見出すことができるかどうか疑問である.現在のように香気成分が明確になっていないので栽培条件が香気成分におよぼす影響を把握することはできなかった.また南方で現在栽培されている真性パチョリー (Pogostemon cablin B.) についてのわが国への導入の可能性はPogostemon heyneanus B.のみをもちいた本実験では不明である.
最後に本研究を行なうにあたって, 材料の提供, 実験の進め方に有意義な助言を賜った国立衛生試験所伊豆薬用植物栽培試験場長宮崎幸男氏, パチョリーの精油の分析に協力賜った名古屋大学農学部農薬化学研究室丸茂晋吾博士等, 同大学同学部園芸学研究室大川勝徳博士に心から謝意を表する.またパチョリー油のサンプルならびにパチョリーアルゴール結晶等を恵与下さった高砂香料株式会社の厚意に深く感謝する次第である.

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