抄録
さとうきびを4年間株出栽培した場合の地上部の形質, 土壌の理化学的変化について調査した.
1) 株出栽培が続けば茎数は過剰となり, 細茎化し発芽点が上昇, 株は畦間まで拡大して来る.原料茎長も経年とともに短小化し, ことに1茎重の減少が大きく, 3年以上の株出栽培では更にその傾向が強い.
2) 収量は株出2年までは増加するが3年目になると2年株出より11%以上も減収となり, 4年目では更に低下する.
3) Brix, polは株出栽培が続けばやや上昇の傾向にある.
4) 跡地土壌は置換性塩基の減少が大きく, とくにCaO, K2Oは2年株出跡でほぼ半減し, その後も減少が続く.MgOの減少も大きい.有効態の燐酸の減少も大きく4年目株出跡では1/3程度になる,
5) PHは下降するが, 有機物は腐植根の蓄積のためかやや増加した.
6) 株出栽培の回数は3回を限度とし, 新植切換えの場合は充分な塩基および燐酸の補給が必要であり, 他作物を取り入れた輪作体系を考慮する必要がある.