熱帯農業
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連続株出栽培におけるさとうきびの形質ならびに土壌の変化について
江畑 正之東 孝行
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1976 年 20 巻 2 号 p. 77-80

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抄録
さとうきびを4年間株出栽培した場合の地上部の形質, 土壌の理化学的変化について調査した.
1) 株出栽培が続けば茎数は過剰となり, 細茎化し発芽点が上昇, 株は畦間まで拡大して来る.原料茎長も経年とともに短小化し, ことに1茎重の減少が大きく, 3年以上の株出栽培では更にその傾向が強い.
2) 収量は株出2年までは増加するが3年目になると2年株出より11%以上も減収となり, 4年目では更に低下する.
3) Brix, polは株出栽培が続けばやや上昇の傾向にある.
4) 跡地土壌は置換性塩基の減少が大きく, とくにCaO, K2Oは2年株出跡でほぼ半減し, その後も減少が続く.MgOの減少も大きい.有効態の燐酸の減少も大きく4年目株出跡では1/3程度になる,
5) PHは下降するが, 有機物は腐植根の蓄積のためかやや増加した.
6) 株出栽培の回数は3回を限度とし, 新植切換えの場合は充分な塩基および燐酸の補給が必要であり, 他作物を取り入れた輪作体系を考慮する必要がある.
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© 日本熱帯農業学会
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