1977 年 20 巻 4 号 p. 225-230
北タイにおける稲作にとってイネノシントメタマバエは最も重要な害虫である.その大発生地はChiengrai県のPasangとPrae県のPrae稲作試験場を中心とする水田地帯で, それぞれの被害茎率は71%と99%であった.タマバエの常発生地 (被害茎率40%以上) はChiengrai県ではMaesai~Pasang一帯とPrae県ではPrae市~Asong一帯であり, 小発生地はChiengrai市~Ngaoにかけた地域であった.タマバエの発生ピークはPanとPrae両稲作試験場では9月中旬であった.タマバエ感受性品種RD1では, タマバエの被害により1株あたり穂数は0本, 抵抗性品種RD4では7.5本であった.後者では出穂後異常分げつ茎が見られ, 著しい減収が予想された.RD4ではタマバエ幼虫の個体数が多く, 幼虫の発育が抑制されていた.RD1では羽化成虫数がはるかに多かった.卵~幼虫寄生蜂.Platygaster oryzaeはタマバエの増殖を抑圧する効果が認められなかった.