抄録
ひまにおける側芽の分化及び発育の全過程を明らかにすることを目的とし, 上海産小粒種を2回にわたり (実験1, 実験2) 圃場に生育させ, 実体顕微鏡下及び肉眼にて観察を行なった.尚, 主茎葉位及び側芽の節位は対生葉及びその節を0とし, 上方に向って番号を付した.結果は以下に示す通りである.
1.実験1では第5葉及び第6葉はそれぞれP.I.0.20及び0.65に分化すると考えられた.実験2では第5・6・7・8・9葉はそれぞれP.I.0.45・0.95・1.55・2.15・2.85に分化すると考えられた.P.I.1以降はP.I.が1進む毎に約1.5葉増加した.
2. (P.I.―主茎総葉数) によって第1花房の分化期を表わすと, ほぼ―4から―5の時に第1花房が分化すると考えられた.
3.第1花房分化前において, 第n節側芽と第 (n+3) 葉がほぼ同時に分化すると考えられ, 最上位の3または4節の側芽が未だ分化していなかった.最上位3~4節の側芽は第1花房の分化直後にほぼ同時に分化した.
4.第1花房分化前には下位節側芽ほど多くの葉を持つ傾向であった.第1花房の分化後は上位節側芽のほうが葉の分化を急速に行なった.
5.第2花房は上位節側芽上の花房ほど早く分化し, その結果, 上位節側芽ほど1次側枝総葉数が少なかった.
6.側芽長は側芽分化後急速に長くなるが, 最上位の3節の側芽を除き1~10mmの長さに達した頃から伸長の抑制が始まった.最上位の2または3節の側芽は抑制されることなく急速に生長を続け, その先端に第2花房を着生した.