抄録
ひまにおける側枝の発育と果房の登熟の相互関係, 及び, 側枝の発育並びに果房の登熟に対する各主茎葉の役割を知ることを目的として研究を行なった.
ひま上海産小粒種を圃場で栽培し, 4種類の剪葉処理, 第1花房 (主茎花房) 除去, または全側芽除去を第1花房の開花始期に行なった.尚, 主茎葉及び1次側枝は主茎上の最上位節から下方に向って番号を付した.
無処理区において側枝の発育は第1節側枝に比し第2節側枝が劣り, 第3節側枝は著しく劣った.第1節側枝及び第2節側枝は無処理区のみならず全ての処理区で有効側枝となった.第3節側枝は, 処理区によって異なったが, 50%から86%の個体で有効側枝となった.有効側枝についてみた1次側枝の葉数は第1節側枝で最も少なく, 下位節側枝ほど多かった.
第1節側枝の発育は第1葉及び第2葉の除去並びに第3葉及び第4葉の除去により同程度に抑制された.一方, 第2節側枝の発育は第1葉及び第2葉の除去によって, 第3葉及び第4葉の除去よりも強く抑制された.また, 第1果房の登熟は第1葉及び第2葉の除去により抑制されたが第3葉及び第4葉の除去によっては抑制されなかった.以上の結果から, 第1果房の登熟は第1葉及び第2葉との関係が深く, 第1節及び第2節側枝の発育は第1葉及び第2葉のみならず第3葉及び第4葉とも関係が深いと考えられた.第1節側枝の発育に対してその側枝を抱く第1葉が大きな役割を持っていた.しかし, 側枝の発育が常にその側枝を抱く葉と深い関係を持つと考えることは困難であった.
第3節側枝の発育に及ぼす処理の影響は第1節及び第2節側枝の発育に及ぼす処理の影響と異なっていた.すなわち, 第1葉及び第2葉の除去が第1節及び第2節側枝の発育を抑制し, 一方, 第3節側枝の発育を促進した.また, 花房除去は第1節及び第2節側枝の発育に対してほとんど影響を及ぼさなかったのに対し, 第3節側枝の発育を促進した.第1葉の除去並びに第1葉及び第2葉の除去による第3節側枝の発育促進は上位葉の除去によって下位節側枝の受光状態が良好となることに起因していると考えられ, その受光状態には葉序が関連していると考えられた.
側芽の除去は果房当り〓数, 果房重, 種子重及び果房当り油脂収量を顕著に増加させ, 一方, 種子百粒重及び含油率を減少させ, また, 油の酸価を上昇させた.果房重, 種子重及び油脂収量の増加は〓数の増加に起因すると考えられ, 〓数の増加は登熟の遅延, 種子百粒重の減少, 含油率の低下及び酸価の上昇を引き起こしたと考えられる.