熱帯農業
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熱帯産樹材の糖化
(第1報) ジャイアントイピルイピル材ペントサンおよびセルロースの希硫酸による加水分解速度
中川 允利神山 由酒井 愿夫
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1986 年 30 巻 3 号 p. 153-159

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抄録
近年.エネルギー危機を契機にバイオマスを酸あるいは酵素などで糖化するプロセスに関心が寄せられている.
本報では, 熱帯産で荳科に属し.生長量の大きな, ジャイアントイピルイピル (Leucaena Leucocephala Lam.) を試料として, そのペントサンおよびセルロースを希硫酸で加水分解する反応の解析を行った.
ペントナンの易加水分解部分および難加水分解部分の反応速度定数kA (min-1) およびkB (min-1) は酸濃度0.5~2.1%および温度393~413K (120~140℃) の範囲で次式により表わし得た.
kA=1.94×1013・C1.20・exp (-113000/ (RT) )
kB=2.82×109・C1.32・exp (-91600/ (RT) )
セルロース部分の反応速度定数, kc (min-1) は酸濃度, C, 0.4~1.6%および温度, T, 443~463K (170~190℃) の範囲で次式により表わし得た.
kc=6.28×1018・C1.17・exp (-175000/ (RT) ) Rはガス定数 (J・mol-1・K-1) である.
これらの値を用いた計算で, ジャイアントイピルイピル材ペントサンおよびセルロースの希硫酸を用いる加水分解によるキシロースおよびグルコースの収率は, 実験範囲の任意の酸濃度および温度で予測可能となった.
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