抄録
マンゴーはタイ国において重要な果実であり, 消費量も多い.しかし, 収穫期間が短く春期1か月にすぎない.他の熱帯果実と同様, 収穫後の品質を保持することが難しいので, その品質保持, シェルフライフ延長のため多くの研究が行われてきた.
本研究は, マンゴーKeaw Sawoey種を用い, 常温 (28~33℃) と13℃下で, 種々のプラスチックフィルムに密封個装する方法や, ポリプロピレン (PP) 袋内の初発ガス濃度をCO2, O2各5%にする方法, あるいは260Torrに減圧貯蔵する方法について, 果実の品質に与える影響を比較検討したものである.
緑熟果を0.011mm厚のポリエチレンフィム (PE) と0.014mm厚のポリ塩化ビニルフィルム (PVC) に密封個装したところ, 常温 (28~33℃) 80±2%RHの条件下で, 無包装果実が緑熟可食状態に3日間であったものがそれぞれPEで6日間, PVCで9日間に延長された.また, 13℃78%RHの条件下では無包装のものが14日間であったものを, PEでは30日間, PVCでは36日間保存できた.無包装果実は比較的早く縮皺し, 過熟となった.フィルム別では上記のように, 品質保持効果は後者が前者に優った.
ポリプロピレン袋内にCO2, O2各5%をガスを封入したものと260Torrの減圧貯蔵は熟度が進まず, なかでも13℃下で貯蔵したものは共に1~3週後に醸酵状態となった.