熱帯農業
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プラスティックフィルム包装によるレイシ果実の果実品質と貯蔵性
ワラアソワパティ オノップソーンスリビチャイ ジンダウタイブット ジャムノン大垣 智昭
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1990 年 34 巻 2 号 p. 68-77

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抄録

亜熱帯果実のレイシは芳香をもち高価であるが, 収穫期間が短く, 収穫後特有の果皮色を急速に失い, 変質し易い.また, 水分損失による褐変を生じて腐敗し易く, 市場性は低い.本研究はタイ北部産レイシ‘HongHuay’果実の4種類のプラスティックフィルム包装による貯蔵性と果実品質とを検討したものである.
ベノミールを含有する温湯 (52℃) に2分間浸漬後, 10~15果単位にトレイごと厚さ0.01mmのビニルとポリエチレンのフィルム包装, 及びポリエチレンとポリプロピレンによる密封包装を施し, 5℃, 17℃及び室温 (27~33℃) 下で貯蔵した.
常温下無包装では, 果皮褐変を生じて2~4日間しか貯蔵性はなかったが, プラスティック包装によって褐変が減少し, 7~10日間まで貯蔵力を延ばすことができた.17℃下貯蔵では, 包装果実の果皮褐変の発生は遅れたが, 貯蔵性は14日間までしか延長できなかった.この品種の貯蔵期間延長のためには, 5℃まで下げることが望ましい.すなわち, 5℃下において, 包装果実の褐変や腐敗は, 無包装果実が貯蔵7日後から発生が多くなったのに較べて, それらを50日まで遅らせることができた.プラスティックフィルムの種類による差は果実品質への影響は余りなく, 水分損失量にはかなり影響した.とくに, 塩化ビニルフィルム包装は他よりも水分損失量が多いが, 反面包装による異臭は少なく貯蔵性も良好で, 官能調査の結果において高い評価が得られた.

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© 日本熱帯農業学会
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