熱帯農業
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タイ国のプラウノイ栽培園に発生する根腐れ症状とクロコサビイロコヤガ幼虫の防除試験
松永 英輔堀部 善水知シリポン マヌーンクープラコン ウボン
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1991 年 35 巻 4 号 p. 273-277

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抄録

タイ国プラチュアプキリカンにおけるプラウノイ園 (1, 120ha) において, 5月~10月の雨期に多く発生する病虫害のなかで, クロコサビイロコヤガ, Amyna Punctum, の幼虫と根腐れ症状がプラウノイ栽培園に大被害をもたらす.
1.クロコサビイロコヤガの幼虫防除
1988年におけるクロコサビイロコヤガの幼虫の発生は, 雨期の4月から10月にかけて多く, 乾期の11月から3月にかけて少ない.
樹齢とクロコサビイロコヤガの幼虫の発生との関係をみると, 2年生以下のプラウノイ樹は3年生以上の成木とくらべて, その発生が著しく少ないか, ほとんどない.この事実はプラウノイの樹齢の葉の生育量と雑草の繁茂と大いに関係があるように思われる.
カバリール, 1-naphthyl methylcarbamate乳剤の散布 (ha当たり1.29kg) は, クロコサビイロコヤガの幼虫に対して防除効果が認められた.
2.プラウノイ根腐れ症状の防除
プラウノイ樹の根腐れ症状の発現の初期病徴として, 葉が衰弱し, しおれ, 褐色化し, やがて落葉する.つぎに, 枝が乾燥化し, その生長が停まり, ついに植物全体が数週間以内に枯死する.
ダゾメット, 3, 5-dimethyl-1, 3, 5thiadiamane-2-thione, はプラウノイ根腐れ症状に対して防除効果は認められたが, 単用では撲滅はむずかしかった.
しかし, 11月~4月の乾期に土壌を深耕し, カルシウムおよびマグネシウムを主成分とするドロマイトの施用による土壌酸度の調整, 燐酸を多く含む鶏糞とカリを多く含むココナットハスクからなる有機物の施用などの耕種的防除法と, ダゾメット処理による化学的防除法の併用が, 化学的防除法だけによる単用よりも効果が顕著であった.

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