熱帯農業
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ジベレリンが誘導する浮稲節間でのエチレン合成
東 哲司内田 直次安田 武司山口 禎
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1994 年 38 巻 1 号 p. 78-82

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抄録
浮稲 (Habiganj Aman II) を深水条件下で栽培すると, 内生のエチレンとジベレリン含量が増加し, 節間が著しく伸長する.本研究では, この二つの植物ホルモンの関係について着目し, 節間組織でのエチレン合成の促進にジベレリンが関与しているかどうかを調査した.気中条件や水中条件で茎切片をジベレリン酸 (GA3) で処理すると, 節間の伸長促進とエチレン発生量の増加が認められた.また, GA3処理により, 1-アミノシクロプロパン-1-カルボン酸合成酵素とエチレン合成酵素の活性が増大した.ジベレリン生合成の阻害物質であるアンシミドール溶液 (100μM) で茎切片を深水処理すると, 蒸留水で深水処理したものに比べて, 節間の伸長量は1/2, 節間内エチレン濃度は2/3に減少した.以上により, 浮稲節間組織において, ジベレリンはエチレンの合成を促進する作用のあることが判明した.
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© 日本熱帯農業学会
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