熱帯農業
Online ISSN : 2185-0259
Print ISSN : 0021-5260
ISSN-L : 0021-5260
コチョウランの生育・開花におよぼす窒素施用時期の影響
窪田 聡米田 和夫
著者情報
ジャーナル フリー

1994 年 38 巻 1 号 p. 73-77

詳細
抄録
普通栽培におけるコチョウランの生育および開花に好適な窒素施用時期について検討した.
展開葉面積の時期別増加量は, 4月から窒素施用した区では7~8月の1カ月間に最も多くなったが, 6月以降から窒素施用を開始した区では, 8~9月の1カ月間に最も多くなる傾向にあり, 6月以降の窒素施用区では4月からの施用区よりも1カ月遅れて生育の盛期が現われた.また, 生育を促進させるためには春期から窒素を施用し, 夏期に植物体中の全窒素含有率を1.5%以上確保する必要があることが認められた.
花茎発生時期は対照区, 8月以前に窒素施用を打ち切った区 (4-5区, 4-7区, 6-7区) で比較的早まったが, 9月まで施用した区 (4-9区, 6-9区, 8-9区) では8月以前に打ち切った区よりも10日以上遅延する傾向が認められた.
以上のことから, コチョウランの普通栽培における生育と花茎発生を両立するためには, 4月から窒素施用して夏期の全窒素含有率を約1.5%以上確保することが必要であり, また花茎発生を遅延させないためには, 7月以降に窒素施用を打ち切るかまたは, 施用濃度を低くする管理が必要であることが示唆された.
著者関連情報
© 日本熱帯農業学会
前の記事 次の記事
feedback
Top