1995 年 39 巻 3 号 p. 195-201
コロンビアCIATから過去20年間, そしてタイCIATから過去8年間に, アジア各国キャッサバ育種プログラムに導入された遺伝変異の量は, それより以前数世紀にわたってラテンアメリカおよびアフリカから渡来した遺伝変異の量を, はるかに上回ると考えられる.有用性の高い育種素材を各国育種プログラムに提供する事の主目的は, 優良品種選抜の機会を増大する事にあるが, その過程を通じて育種体制そのものの強化にも結びつく事が多い.このCIATの育種材料を使用して, タイ, インドネシア, 中国, ベトナム, フィリピン, マレーシアでは, 育種プログラムの整備が進んだ.育種系統集団の平均収量性は, タイに続いて, インドネシア, 中国, フィリピンで着実に上昇した.その中で短期間に育種プログラムの整備と, 育種集団の平均収量性と乾物率の向上が最も劇的に起こったのが, ベトナムである.これらの結果を総合して, アジア各国のキャッサバ育種プログラムは, CIATが改良を重ねてきた育種素材を利用してほぼ総ての主要キャッサバ栽培気候条件で, 有望系統を作り出していると言える.