抄録
タイワンツマグロヨコバイ (GLH) はイネツングロ稈菌状ウイルス (Rice tungro bacilliform virus: RTBV) とイネツングロ球状ウイルス (Rice tungro spherical virus: RTSV) を媒介し, イネツングロ病を発病させる熱帯アジアの重要害虫である.GLH抵抗性崩壊への対策として2種類のGLH抵抗性品種の混作がGLH個体群に及ぼす影響を調べた.GLH抵抗性品種IR42とPankhari203との混作上でGLHを飼育選抜したところ, 飼育第1代では世代を終えるのに43日必要であったが, 3世代目以降では感受性品種と同様に約30日で世代を終えるようになり, 2種類の抵抗性品種の混作がGLH抵抗性を安定させる効果は認められなかった.また, この混作上で12世代選抜されたGLH個体群はIR42とPankhari203上で感受性品種と同様に生存し, IR42にはRTBVとRTSVの両ウイルスを, Pankhari203にはRTBVを感染させることができた.従って, 混作により, 混合された全てのGLH抵抗性品種が抵抗性を示さないGLH個体群の発生を招く危険性が高いと考えられた。