熱帯農業
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温度および施肥がサトウキビの生長, スクロース含有率およびインベルターゼ活性に及ぼす影響
寺内 方克松岡 誠小林 真中野 寛
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1999 年 43 巻 1 号 p. 18-25

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抄録

サトウキビ登熟の重要な要因である温度および施肥について, 温室内で処理区を設定し, これらの要因が, サトウキビの生長, 糖組成およびインベルターゼ活性に及ぼす影響を調査し, スクロース蓄積の生理機構を明らかにしようとした.
仮茎長, 葉数, 節数などの形態形質は, 32℃の高温区で大きな値を示した.一方, スクロース含有率は24℃の低温区で高く, グルコースおよびフルクトース含有率は低温区で低かった.スクロース含有率と茎乾物率には正の相関関係が認められ, 低温区のサトウキビは, 短茎であるが茎乾物率が高いため, 温度処理による乾物重の変動は比較的小さかった.これらのことから, サトウキビは, 低温条件下で, 同化産物のスクロース蓄積への分配を増大させるものと推察された.酸性インベルターゼ (AI) は, 低温条件下で活性が低かった.このため, 低温下で高い値を示すスクロース含有率と, AI活性の間には, 負の相関関係 (r=-0.719) が認められ, 貯蔵スクロースの分解排出で働くAIの活性の低下がスクロース含有率の上昇に関与していることが示唆された.極早期高糖な品種NiF4は, 他の品種に比べ, 高温区でのスクロース含有率が高く, 高温条件下でのスクロース蓄積能力が高いものと推察された.

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© 日本熱帯農業学会
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